【レビュー】武生中央公園 コウちゃんの観覧車

review, 武生中央公園

2020年、新型コロナウイルスにより人々の生活は一変してしまった。
そして感染者が増えるたびに叫ばれたのが

「不要不急の外出は控えてください」

旅行、そして観覧車に乗ることは「不要」ではないとしても、明らかに「不急」ではある。
もちろん自身も生活することに精一杯で、しばらく”観覧車巡り”から遠ざかった生活を送ることになった。

 

そして2021年
相変わらずコロナ禍ではあるが、9月中旬から急に国内感染者数が右肩下がりに。
10月に入ると緊急事態宣言も解除され、対策をしつつ経済を回していく方向に。

ワクチンも夏に打ったので、こちらもようやく「さて観覧車に乗りに行こうか」という気分になってきた。

そこですぐに思い浮かんだのは、福井県武生市にある「武生中央公園」の観覧車。
「たけふ菊人形」という毎年10月上旬から11月上旬にかけて開催されているお祭りの時にしか営業しない、おそらく2021年現在日本唯一の”期間限定営業”というスタイルの観覧車。
福井県は東京からそこそこ距離もあり、今まで乗りに行けていなかった。

しかし2021年5月に、老朽化による年内の営業終了が発表されており、まさに今一番「必要至急」の観覧車となっていたのだ。

 

ということで、満を持して10月最終週に福井旅行を計画。

 

福井駅からJR在来線に乗って約20分、武生駅に到着。
たけふ菊人形の期間は日曜日のみ無料のシャトルバスが20分間隔で運行されており、そちらを利用して会場まで。
家族連れでシャトルバスに乗る人はほぼいないのか(通常皆マイカーなのだろう)、運転手さんにちょっとびっくりされ「どこに行きます?」と確認されてしまった。

バスの中もおばあさん二人だけで、まだ午前中なので人もまばらかと想像していたが
いざ着いてみると、続々と家族連れが入場ゲートに向かっており、なかなかの賑わい。

ゲート手前にある大きな熊の菊人形のオブジェで写真を撮ってもらっている家族がいたので、並んで撮影してもらう。

入口では検温・消毒と、万が一のために名前・電話番号を記載。
中は広々としたスペースに、色々な菊人形が点々と展示されている。

だいぶ前に写真で見た「菊人形」は日本人形だったので、そのイメージだったが
越前市出身の絵本作家「かこさとし」さん代表作の「だるまちゃん」や、キャラクターのきくりん、ピーターパンや人魚姫などの物語をモチーフにした人形などが飾られていて、バラエティ豊か。






武生中央公園は菊人形会場の他にもいろいろな広場やグラウンド、公共施設などに分かれており
観覧車は、エントランスから左斜め奥のほうに進んだ「コウノトリ広場」の中にあった。

ちなみに、息子たちは会場左隣にあった「だるまちゃん広場」の”フワフワ”に大興奮。20分くらいひたすらはねて遊んで汗だくに…
2017年に再整備されできたという広場にはフワフワの他にも大きなローラー滑り台などのある大型遊具もあり、同じように興奮して走り回る子供たちで大盛況だった。
 

手前に「だるまちゃん」の顔はめパネルが。


ベンチはだるまちゃんシリーズ登場キャラクター「かみなりちゃん」がモチーフになっていて可愛い。


コウノトリ広場は子供たちで大賑わい。特に観覧車は菊人形展の間しか乗れないからか、常時10組前後が並んでいた。

観覧車の名前は「コウちゃんの観覧車」

(ちょっと暗いが…)

これは、かこさとしさん作「コウノトリのコウちゃん」という絵本から名づけられており
入口手前には、絵本の表紙やコウノトリの説明が描かれた看板も。

真ん中のシンボルマークには絵本のワンシーンが。後ろ側には違うシーンのイラスト。


ゴンドラは塗装の無い銀色に本を広げたようなデザインのライン入り。ラインのカラーは青、緑、赤、黄色の4色。
それぞれに菊人形展キャラクターの「きくりん」がワンポイントで描かれている。

ピンクの内装は少し年季が入っていて、錆がちらほら。

駅方面の反対側には住宅街の中にそびえる小高い山が。「村国山」という、標高238mながら日本夜景100選にも選ばれた景色の綺麗な山らしい。

他にも頂上がつまんだような形の「日野山」など、四方に山々が見える。

園内は菊が飾られ、ミニ列車も走っていた。

観覧車の裏には木のアスレチックも。幼児から小学生くらいまで幅広く楽しめるスポットが充実。

裏から。黄色いスポークと薄黄緑の支柱がかこさとしさんのイラストの柔らかい雰囲気と合っている。

隣の越前市文化センターの壁にもイラスト入り。


 
ちなみに、観覧車は一部の支柱などは再利用されて、子供たちが遊べるアスレチックに生まれ変わるそうだ。

このイメージイラストを見たときはなんだか改造されてしまうようで観覧車好きとしては少し悲しい気分になってしまったが、
子供たちが安全に楽しく遊べるのであれば、第二の人生(一部だが)としては良いのかもしれない。

帰りに武生駅で電車を待っていると、菊人形展の看板にもうっすらと観覧車がいることに気づいた。

せめて看板の中だけは残っていてくれると良いな、と思う。